
低水温期の寒グレ釣りやスレッカラシが多い釣り場では、サシエを食いにきたグレが違和感を感じて喰い込まず、すぐに吐き出すことが多い。その原因は何なのか? シロモッチはひらめいた。
「カレーを食べるときにスプーンが歯に当たるとイヤやん。グレもエサを喰いにきたときにハリの結び目や耳が口に当たるのを嫌がってるんと違うかって」
いまでこそ、ハリの耳がグレに違和感を与えて喰い込みが悪くなるということを意識している人は少なくないが、シロモッチがそれに気付いたのは2010年ごろ。AKB48がブレイクし、食べるラー油や3D映画が大ヒットした時代だ。当時を思い返す懐かしい写真と共にお届けしたい。

サシエを触りにくるのに離してしまう。寒グレ釣りではよくある現象を減らすためにシロモッチがひらめいたのが硬いハリの耳を隠すことだった
ゴムのような軟らかい素材のパーツを耳から結び目に被せることで、口に触れたときの違和感が軽減できると考えたシロモッチは、さっそく工場に出かけ、アツい思いをぶつけた。そこで相談するうちに金型をとってエラストマ素材にしたほうが、ゴムで作るよりもきれいにできるのではという話になったのだ。
「エラストマーって、ボールペンとかの握るところに被せてある滑り止めのあれ。フグに少々噛まれてもちぎれないし、日本で作るからバリもなく色もきれいに出せるってことでエラストマーでいこうってことになった」
サイズはどうするか、シロモッチの行動は早かった。グレ釣りのサシエに多用されるオキアミMサイズの尾バネの大きさを測定。こういう細かい作業は小さな頃から得意だ。そして一般的な釣り人が使うハリの号数とハリスの巻き付け回数を測った数値とを合わせて6mm強の長さ(Mサイズ)に決まった。

ハリの耳と結び目をすっぽり隠すから硬い部分がグレの口に当たらない
サシエに使われるオキアミは生、ボイル、加工オキアミの3つがメインだったことから、それぞれの色にマッチするカラーを模索。5月ごろに取れる生オキアミや加工オキアミように柿色がかった色に合うクリアーオレンジ、一般的な白っぽい生オキアミやボイルに合わせたクリアーピンクの2色を完成させて「ハンパねえ喰い込み」のうたい文句で2011年秋にリリースすると、大きな反響を得た。年が明けるとボイル専用のマットSAKURAカラーを追加。さらに2013年には、食い渋り時の切り札とも呼べる紫外線発光のスーパーケイムラをラインナップに加えたのだった。

ケイムラのテスト段階では、クリアー(左)やクリアーピンク(右)などの色違いがテストされた

2012年12月末の和歌山県樫野のテスト釣行。ウキに小さな反応があるもののアワせるタイミングが取れない状況で、TバックOBANEのケイムラ(クリアー)を装着した次の一投で48cmを引き出した
さて、個性的なネーミングも釣武者製品の魅力のひとつ。TバックOBANEについてシロモッチは当時こんな話をしていた。
「会社の上司と飲みに行ったときに、今度の製品は喰い込みのよさが一番のセールスポイントだという話をしてたんやけど、くい込みっていうたらTバックやろうってことで、それで決まったよ」
もちろんT型の尾バネ形状という意味もあるが、こんな遊び心あふれるキャッチーでインパクトのあるネーミングが、釣り人のハートをわしづかみにしたのはいうまでもない。


初めて訪れる釣り場でもTバックOBANEの喰わせ力は威力を発揮。釣り人の強力なウエポンとなった