タックル誕生秘話Vol.1【速パラ&ぶっ飛びウキパラフロート】

結ばないからセットは爆速=ウキの回収率が爆上がり

シロモッチの「あったらいいな」というモノづくりの原点。

フカセ釣り師にとってウキの流失は、ボーズになるよりショックかもしれない。お気に入りのウキは、仕掛けのなじみや潮の変化を教えてくれるだけでなく、グレの口元へサシエを届けてヒットチャンスをメイクしてくれるよき相棒であり、思い出がたっぷり詰まった宝物だからだ。
不意の高切れで波間を漂うウキの回収に役立つウキトリパラソルを、より素早く、より簡単にセットして、ウキの回収率を大幅にアップさせるスグレモノが「速パラ」。その登場は2010年に遡る。
「釣武者のプロスタッフになって一番最初に手がけたアイテムやね。ウキを流したときって焦ってるから、なかなかウキトルパラソルにきっちり糸が結ばれへん。もっと素早くセットできる方法はないかってずっと前から考えてたんよ。簡単にセットするだけなら自動ハリス止めがあるけど、あれは糸を挟んで止めるからショックで切れることがある。ウキトリパラソル自体に自重があるから、自動ハリス止めでは投げたときに切れて飛んでいく恐れがあるねんな」

二つ折りにした道糸を引っかけて巻き付けるだけだから3秒あればセットできる速パラ

結んだり挟んだりしない方法はないかと悩んだシロモッチは、思い出した。昔見たルアーに、そんな原理のものがあったことを。記憶を頼りに作ったそれは、道糸の端を折り返してできた輪をカギの部分に引っかけて、軸に5、6回巻き付けるだけで取り付け完了。セットするのにそれこそ5秒、いや3秒もかからず、取り付け部分の道糸が二重になっているから強度的にも申し分なし。
「パラソルが回転して道糸にヨレがかからないようスイベルをセットしたんやけど、両方が回転すると使いにくいから片方は回らんようにして。あとは全体の長さとか見た目とか。軸は長いほうが道糸をセットしやすいけど不細工やねん。なんぼ便利やっていうても見た目がよくなくないと商品としてはあかんからね。商品化までに1年くらいかかってるねんで」
そんな速パラを追いかけるように開発を進めていたのが「ブッ飛びウキパラフロート」。ウキトリパラソルの芯棒にさして自重と浮力を持たせるアイテム。

ウキトリパラソルの芯に見えているのがブッ飛びウキパラフロート。これは上部が丸い初期モデル。ちなみにシロモッチがかぶっている「釣武者キャップTHE IMPACT」も2010年秋に登場。まだお持ちの方もいらっしゃるだろうか?

「ウキトリパラソルの飛距離を伸ばして、水に浮くから操作がしやすくなることで、ウキの回収率がアップする。これらは釣り人が絶対喜ぶやろうと思った通り、爆発的に売れたよ」

2つのアイテムで上物釣り界に金字塔を打ち立てたのは2010年秋。ここからシロモッチがプロデュースする「あったらいいな」は次々に具現化されていく。


今年は遠投性とキャッチ率を向上させたオプションパーツ【ぶっ飛びウキパラフロートダッシュⅡ】もリリース

ベロを引っ張るとウキトリパラソルが飛び出すオプションケース。普通に取った方が早い気もするが、お茶目なモノづくりも好きなシロモッチ

今後も釣り人のためになる、どんなアイテムが登場するのか、企画開発に注目していただきたい。